西上寛の日々ブログ

日本茶の逸品 本山茶

2017/06/07

茶のみのニシウエです
逸品シリーズで日本茶のことを書くのは わくわくします

今日の逸品は 本山茶です 「ほんやま」と呼びます

場所は 静岡県安部川の上流域の山の中で産されます
この本山茶は 静岡茶の源流です

鎌倉時代の高僧 聖一国師(しょういちこくし)が 自身の故郷である 安倍川上流足久保の地に茶の種をまいたことが起源とされています
この歴史からもわかるように 宇治茶とは異なる源流を持っている産地です

そして 時代は下って 戦国から江戸時代にかけて その祖である徳川家康が この本山茶をこよなく愛したという歴史も持っています

聖一国師から始まり 徳川家康が愛したのは この本山で作られていた抹茶でした(現在の製茶方法とは異なる方法で作られていたようですので 現代の抹茶とは違うものだったようです)

本山茶発祥の地の石碑(上)と本山の茶畑(下)

この本山茶は 非常に艶っぽい煎茶です

葉の形状は 伸びの煎茶特有の濃緑色ですが  葉から放たれる芳香は とてもふくよかで 鼻腔いっぱいに華のような香りが広がります

水色は「金色透明」 離れていても その華のような香りが立ち昇ってきます
そして 一口含めば 口中いっぱいに広がる 絢爛豪華な旨味と渋味
『これが本山茶だ!』と大見得を切ってくるような華やかさがあります


一煎目では開ききらない急須の中の葉も 二煎目 三煎目 への期待を持たせてくれます
この一煎目のあとの急須の中からも 華やかな香りが立ち込めます

この華やかさは 本山茶特有のもののように感じます
戦国時代 戦に明け暮れた武者たちの心を鎮めた本山茶

華やかな中にも 厳かな雰囲気を漂わせた「本山茶」 後の世に残した逸品です