西上寛の日々ブログ

徳川家康が愛した茶産地=静岡本山(ほんやま)

2016/05/24

静岡県は日本一の荒茶生産量です
昨年(2015年)の生産量は33,100t ダントツの全国1位(全国計 83,500t シェア40%)でした

その静岡茶の源流は安部川上流域にある足久保地区です
この足久保に お茶の苗を植えたのが 京都にある東福寺を建立した 聖一国師でした
聖一国師は鎌倉時代の人 足久保近くの生まれで 故郷に一大産業を遺した偉人といえます
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足久保にある静岡茶発祥の地の碑

当時は本山(ほんやま)という呼び名ではなく地名で呼ばれていたようです
本山茶と呼ばれるようになったのは 明治になってからのことです
幕末・明治の茶農家 筑紫光太郎が この地区で手塩にかけて育てたお茶を 他の地区のお茶と区別して「本山(ほんやま)茶」と呼んだのがその始まりであると言われています

安部川は南アルプスに端を発し 豊富な伏流水を持っています
また その周辺の土壌は富士山の火山灰土を含みミネラルが多い黒土で水はけが良い土地です
そして その流域を囲む山々はしっとりと川霧がかかり 茶の葉に照りつける陽差しを和らげ「天然の覆い下栽培」といえるほど茶園としての環境は抜群に整っています
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この本山(ほんやま)地区には 複数の産地があります
その中でも 標高600mの梅ヶ島のお茶は絶品です
昔ながらの浅蒸しの煎茶は まず その香りに驚かされます お湯を入れる前の乾燥した状態で 既に花のような芳醇な香りを醸し出してくれ
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そして 水色は金色透明  味はとろっとして舌の上で踊るまろやかな甘みと鼻にスーッと抜ける渋みは まるで絶世の美男 美女のような華やかさに満ち溢れています
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是非 一度 本山の煎茶に触れてみてください

この本山茶から西側の大井川上流域には 「川根茶」の郷があります
そして更に西側の天竜川上流には「天竜茶」の郷があります

目を東に転じると 安部川の支流域の藁科川(わらしながわ)には「藁科茶」があり  富士川流域には「富士茶」があります

つまり この「本山茶」を中心に静岡茶は発展していきました

明治になると 徳川慶喜の謹慎先が駿府(静岡)であり 多くの旧幕臣が移住してきました
彼らの仕事作りのために 富士山麓の楮の植林(製紙業)のほかに 牧之原台地の茶園経営が盛んに行われるようになったのも徳川家康が愛したと言われる「本山茶」があったことと無縁ではないでしょう

歴史に想いを馳せて 美味しい和菓子と本山茶で一服如何ですか?
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今回も最後までお読みいただき ありがとうございます(多謝)

【おまけ】
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静岡と云えば 霊峰富士  どこから見てもかっこいいですよね